Code for Japan、新理事が語る「次の10年」

2026.01.28 | お知らせ

2025年12月、Code for Japan(以下、CfJ)の理事に、砂川洋輝さんと川邊悠紀さんの2名が加わりました。CfJは設立から12年を迎え、次の10年に向けて持続可能な組織運営体制を構築するフェーズに入っています。

理事に就任するお二人は、いまのCfJをどのように捉え、どんな課題や可能性を見ているのでしょうか。就任にあたっての思いとこれからの展望について話を聞きました。

▼ 過去のインタビューもあわせてご覧ください。

砂川洋輝さん インタビュー

https://www.code4japan.org/voice/202502_hirokisunagawa

川邊悠紀さん インタビュー

https://www.code4japan.org/voice/202406_kawabeyuki

――理事の就任にあたり、まずどんなことを考えましたか?

川邊悠紀(以下、川邊):まず頭に浮かんだことは、「CfJでしかできないことは何か」ということです。CfJは10年以上活動を続け、主催するコミュニティには9,000人もの方が登録しています。こうした基盤がすでにある中で、立ち上げから関わってきていない自分が、何を受け継ぎ、どう活かしていくのか真剣に向き合いたいと思いました。

砂川洋輝(以下、砂川):自分の場合は、理事と聞いてすぐにピンときたわけではありませんでした。ただ振り返ってみると、入社以来、多くの先輩方から学びの機会をもらってきたなと思います。そう考えるといつまでも受け取る側でいけないなと。自分も何かを生み出し、次の世代へとつないでいく時期に来たのだと感じています。

――現在のCode for Japanを内側から見て、どのように感じていますか?

川邊:コロナの時期にCfJが注目されて、シビックテックという言葉が広く知られるようになりました。今はそこから少し違う段階に入ってきている感覚があります。

活発なプロジェクトを見ていると、短期的に盛り上がって終わるものではなく、モチベーションを保ちながら数年単位で続いているものが増えてきています。テーマも分岐していて、シビックテック的な発想で始まった取り組みが、人の関心を集め、資金も集まり社会に価値が届いてる。そうしたサイクルが現実のものとして回り始めています。

たとえば、自治体や国の支援制度を探しやすくする取り組みや、休祝日でも対応しているアフターピル取扱医療機関を検索できるプロジェクト、web3分野での貢献を可視化する試み、偽情報対策のプロジェクトなどがそうですね。

シビックテックのプロジェクトは実験段階にとどまりがちでしたが、明らかにもう一段進んできた感じがします。

川邊悠紀さん

川邊悠紀さん

砂川:川邊さんと同じような印象を受けています。これまでの10年はシビックテックを社会に根付かせるために、とにかく走り抜けてきた時間。でも、次の10年は異なるアプローチとなるでしょう。

これからは、どこでどんなテーマを誰とやっていくのかを、より具体的に示していく必要があると思います。シビックテックという言葉や理念だけでなく、これがそうなんだと直感的に伝わるような、分かりやすいユースケースや実践を積み重ねるフェーズに来ています。

そうした具体例が見えてこないと、ここまで盛り上がってきたムーブメントも社会に定着していきません。今はその分かれ目に立っている時期なのではないでしょうか。

砂川洋輝さん

砂川洋輝さん

ーーこれからCfJでどのような景色を描こうとしているのでしょうか。

川邊:「エクストリームに行く」というのは大事にしたい視点です。新しい技術や、まだ一部の人しか関心を持っていない領域に踏み込みながら、同時に半径数キロメートルの身近な課題にも向き合う。先端的な取り組みとローカルなシビックテック、その両方を切り離さずに交わる状態をつくり続けたいですね。

AIの登場によって、いまや誰でもプロダクトを作りやすい時代になりました。ただ、作ることと社会に届けることでは、求められる難しさの質がまったく違います。せっかく良いアイデアやプロダクトが生まれても、プロトタイプで止まってしまうケースは少なくありません。

それを乗り越えるには、長期的に「つくる・ためす」を繰り返すことです。CfJではこれまで、プロダクトを実際のフィールドで試し、多様な人と関わりながら磨き上げ、必要な資金を確保し、社会に届ける取り組みを続けてきました。コミュニティを起点にさまざまな人と進めることで、モチベーションが保たれ視点も広がっていきます。こうしたサイクルをひとつの型として、シビックテック全体に広げていきたいです。

さらに意識していきたいのは、海外との連携です。これまで海外でハッカソンをしても、国ごとにチームが分かれ、それぞれが成果を発表する形が中心でした。でも同じチームとしてプロジェクトに取り組む機会がもっとあってもいい。国ごとに先行している分野は違うので、その学びを持ち寄り協働しながら、国境を超えてシビックテックに活かしていける状況をつくっていければと思っています。

――その実現に向けて、CfJが大切にしたい姿勢は何でしょう?

砂川:多くの人が関わりやすいよう、間口を広げる姿勢を大切にしたいですね。一言でいえば、シビックテックを文化にしたい。

正直に言うと自分は、最初からシビックテックにどっぷり関わっていたわけでもなければ、特別な思想を持っていたわけでもありません。外から見ると、CfJにはエッジの効いた人が集まっている印象があるかもしれませんが、実際に入ってみると良い意味で「普通」の感覚を持った人もたくさんいます。

地方で仕事をしていたとき、日常にシビックな感覚が自然と溶け込んでいると感じました。住民自身に、自分たちの町は自分たちで良くしていくという意識があるんです。一方で都市部では、まちの課題は行政や企業が解決するもの、自分たちはサービスを受ける側という役割分担が無意識のうちにできてしまっている。私自身もそうだったように、社会課題や地域課題に対して、自分が何かできると思っていない人は、結構いると思います。その結果、社会と関わる入口が少なくなっているように感じています。

だから、社会課題を解決しようとか、テクノロジーで何かを作ろうとする、手前の部分も大事にしたいですね。たとえば、まちを歩いていてふと感じた違和感を、家族や友人と話してみたり、気になって調べてみたりとか……。

こうした小さな関心や対話が、結果としてシビックな活動につながっていくと思っています。最近では「シチズンサイエンス」や「アクションリサーチ」と呼ばれる活動に通じるかもしれません。シビックテックの源流のようなものですね。さまざまな関わり方が自然と生まれていく土台づくり。それが、これからのCfJにとって大切なあり方だと考えています。

――お二人は、理事として具体的にどのような役割を担うのでしょうか。

川邊:自分は惹かれるものに、わりと無邪気に取り組んできたタイプだと思っています。それを個人のスタイルにとどめず、組織としても続く形にできたらいいなと感じています。そのために、人事や情報の整理、予算の確保といった、活動を支える部分を理事として担っていきたいですね。

CfJは事業やプロジェクトの幅が広い分、外から見ても中にいる人にとっても、全体像や役割がつかみにくいところがあるんです。プロジェクトのテーマだけでなく、どんな役割や経験が求められているのかが伝わるようになれば、それぞれが自分の力を活かせる場に関わりやすくなると思っています。

また必要であれば、他の組織との連携や、特定の分野に強みを持つ外部理事を迎えるなど、外の知見も積極的に取り入れていきたいです。

砂川:これまでの仕事を振り返ると、「こうあるべき」に縛られすぎず、その場で最善の手を考えることを大切にしてきました。

プロジェクトが進みやすいように、人や資金が必要なら集める。どうしても埋まらない役割があれば、自分が入る。全体を見て前に進むよう、整えていくやり方が自分には合っていると思います。

理事になってもそのスタンスは変わりません。CfJの中の人が無理なく関われて、自然と次に進める状態を支えていきたいです。

その意味でも取り組みたいのが、属人性を減らすことです。プロジェクトや経営の情報を共有し、必要なときに誰でも取り出せる状態にしておきたい。そうすることで、立場や役割に関係なく関われる余地が広がります。性別や年齢を問わず、いろいろな人が力を発揮しやすい組織にできればと思っています。

――最後に、CfJに興味がある方、これから関わってみたいと思っている方にメッセージをお願いします。

砂川:どんな関わり方でもいいから、まずは来てみてほしいですね。自分のアイデアやスキルをCfJと掛け合わせたら何ができそうか。そんなことを妄想してみてください。きっと楽しいと思います。

エンジニアである必要はなく、営業でも、研究者でも、ひとりの生活者としてでもいいんです。自分の強みを絡めたら社会や町が面白くなるかもくらいの感覚で、気軽に覗いてもらえたら嬉しいです。

川邊: 自分も同じ気持ちです。CfJのコミュニティの良さは、途中で離れてまた戻ってきても、気まずくならないところ。定期的に開催しているソーシャルハックデーにもいろんなプロジェクトが増えているので、以前コントリビューターとして関わっていた人にも、ぜひ戻ってきてほしいですね。これからの社会のあり方を、自分たちで考え、自分たちでつくっていく。多くの方々とソーシャルR&D(※)を進めていけたらと思っています。

※ソーシャルR&D:

2025年ごろから、社会課題や公共性を扱う分野を中心に使われるようになったキーワード。CfJでは、「これからの社会を、ともに考え、ともにつくる」ために、テクノロジーを社会で試行し、対話を通じて実装していく研究開発のアプローチとして位置づけている。

ともに考え、

ともにつくる。

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