公共ナレッジエンジニアリング開発室

暗黙知からコンテキストを生み出し、AIを使いこなす自治体になるための実践型開発室

「あの人がいないと分からない」から、「AIが組織の知恵を引き出す」組織へ。

現在の行政運営は、個々の担当者が持つ暗黙知に大きく依存しています。この知識は組織の資産になっておらず、異動や退職と共に失われるリスクを常に抱えています。
本開発室は、参加者が実践的に学び合いながら、現場の暗黙知を構造化し、AIが理解・活用できる「組織のナレッジ資産」に変換する実践プログラムです。重要なのは、AIツールの導入ではなく、「AIが理解できる文脈(コンテキスト)」を整えること。この技術体系を「ナレッジエンジニアリング」と呼びます。
暗黙知の形式知化をAIがサポートするため、担当者の判断の「再現可能な部分」「依存している条件」「例外が起きやすいパターン」など可能なところから抽出し、AIにとって扱いやすい意思決定の下地に使えるコンテキストを構造化していきます。自治体は受動的にAIに使われるのではなく、主体的にAIを使いこなし、組織固有の知恵を最大限に活用できるようになります。
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こんな課題、ありませんか?

  • 局所的な活用:生成AIのツールを導入したものの、使う人とそうでない人が2極化している
  • 文書化・体系化の欠如: 担当者が暗黙にやっている判断や手順が共有されていない
  • 担当者への過度な依存: 特定の職員がいなければ業務が滞る「属人化」の状態
  • 知識継承の困難: ノウハウが形式知化されていないため、後任者への引き継ぎに膨大な時間がかかる
  • 一貫性の欠如: 担当者ごとに判断基準や業務プロセスが異なり、サービスの品質が安定しない
  • Excelメール文化: 各課からExcelやメールで依頼が届き、それを手入力で処理する非効率な業務フロー

この開発室で実現すること

✓ 属人化リスクの軽減と業務継続性の確保

担当者の判断基準や過去の対応履歴を構造化し、誰でもアクセスできる組織資産に。人事異動があっても業務品質を維持できます。

✓ 手作業30-50%削減(Phase 1で実現)

「Excelメール文化」から脱却し、統一フォームによるデータ収集を実現。入口を改善するだけで、劇的な効率化が可能です。

✓ AIが活用できるデータ基盤の構築(Phase 2)

単なる形式知化ではなく、AIが理解・活用できる「コンテキスト(文脈)」として構造化。将来のAI活用の土台を作ります。

✓ 部署専用の"AI相談役"の実現(Phase 3)

蓄積された組織知を学習したAIが、過去の最適判断を提示。担当者の意思決定を支援し、判断品質を向上させます。

✓ 主体的なAI活用力の獲得

AIに業務を支配されるのではなく、組織の文脈に合わせてAIを「使いこなす」力を身につけます。

✓ データ主権を確保しながら、AIの恩恵を受ける

守るべきデータを管理しながら、最先端のAI技術を活用できます。外部サービスに全てを委ねるのではなく、組織が主導権を持ってAI活用を進められます。
 

プログラムの特徴・アプローチ

ナレッジエンジニアリングとは

ナレッジエンジニアリングとは、組織の暗黙知を形式知化し、さらにAIが理解・活用できる「コンテキスト(文脈)」に変換する技術体系です。
従来のナレッジマネジメントでは「暗黙知の形式知化」が重視されてきましたが、AI時代にはそれだけでは不十分です。形式知化されたドキュメントを人間が読むのと、AIが理解して活用できるのとでは、大きな違いがあります。
 
この開発室では、Code for Japanがこれまで伴走してきた経験を元に、以下のようなステップを通じてナレッジエンジニアリングを実現していきます。
  1. 目指す姿の言語化
  1. 現状の事前調査(確認)
  1. 対象業務(所管課)の選定
  1. 業務分析とAI導入部分の選定
  1. 実証実験と効果測定
  1. 他領域展開を見据えた振り返りと、実装に向けた計画策定
 
価値は、暗黙知を構造化された「コンテキスト」に変換し、AIが理解できる形で注入するプロセスから生まれます。このプロセスを通じて、組織固有の判断基準や業務知識をAIが活用できるようになります。
 
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なぜ今、自治体にこれが必要か

AI活用の最大の障壁は、技術の複雑さではありません。「AIが使えるデータがない」ことです。各部署からExcelやメールで依頼が届き、それを手入力で処理する——この「入口」の非効率な文化や環境が、すべてのボトルネックになっています。まずは、この入口を業務に合わせて改革することでデータ収集を自動化し、その後データを扱う基盤を構築、業務に合わせたナレッジを構築します。

参加のメリット

✓ 参加者同士での相互学習

孤立せず、同じ課題を抱える仲間と共に進めます。各自治体の取り組みや課題を共有し、相互に学び合うことで、より効果的なアプローチを発見できます。

✓ 先行事例からの学び

Code for Japanがすでに関わっている地域など、AI活用で成果を上げている自治体の実践知見を共有。基礎研修から始め、現場での並行利用評価を経て、段階的に予算化と本格導入に進むという現実的なアプローチを学べます。

✓ Code for Japanの伴走支援

技術的な実装支援だけでなく、組織内での推進、ガバナンス設計、職員研修まで、トータルで支援します。CAIO(Chief AI Officer)、CDO(Chief Data Officer)、DX推進課との連携体制構築もサポートします。

✓ 他自治体への展開可能なノウハウ獲得

このプログラムで得られた知見やツールキットは、まずは勉強会に参加している他自治体向けと情報共有し、将来的にはオープンソースとして公開することを想定しています。

✓ 段階的アプローチでリスク最小化

いきなり大規模なAIシステムを導入するのではなく、Phase 1で小さな成果(手作業30-50%削減)を確実に出してから次に進みます。予算説明もしやすく、失敗のリスクを最小化できます。

参加自治体を募集します

自治体のAI活用をネクストステップに進めたい自治体を10自治体募集します。
  • 実践的な学びの場として、月1回のオンライン勉強会に参加
  • 自組織の業務を題材に、ナレッジエンジニアリングを実践
    • テーマに応じてCode for Japanのメンバーが伴走
    • 場合によっては、企業や個人開発者も参加
  • 他自治体の事例や課題を共有し、相互に学び合う機会を得られます
 

個人や企業の参加について

企業の参加も可能です。また、行政職員であれば個人としての参加も可能です。(Code for Japanによる選考があります)
 
興味のある方は下記フォームから応募ください。
 

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