流山市の循環型エコポイント制度「もりポ」実証実験をレポート

2023.05.19 | 活動レポート

カーボンニュートラル、CO2削減、SDGsなど、持続可能な社会への意識が高まる中、エコ活動が各地で盛んになってきています。今までエコ活動に参加したことがない人にも、気軽に参加してもらいたいと考える主催者の方も多いのではないでしょうか。
千葉県流山市で『エコ活動へ気軽に参加できるきっかけづくりをしたい。』という市民が集まり運用を開始した循環型エコポイント制度「もりポ」。ソーシャルハックデーで流山市の地域団体や全国のシビックハッカーと開発を進めてきましたが、5月4日に開催した流山グリーンフェスティバル2023にてv1リリースをしました。Code for NAGAREYAMAの代表で、Code for Japanの理事でもある白澤がそのサービスの始まりとシビックテックでの開発や実証実験についてレポートしながら、地域活動とシビックハッカーをつなぐブリゲードの役割や可能性について考察します!
 
5月4日イベントにて「もりポ」を利用している様子
5月4日イベントにて「もりポ」を利用している様子

地域の課題をダブルで解決 循環型エコポイント制度「もりポ」

流山市は、千葉県北西部にある人口は約20万人の市です。「もりポ」は、その市内で活動する市民活動団体「共存共助の森のまちUNION」が運営するエコ活動と地域の商店を繋げる目的で考案された循環型エコポイント制度です。環境にやさしいワークショップを実施して、参加者にエコポイントを付与し、付与されたポイントは、提携している地域の商店で100もりポ=100円相当の割引クーポンとして利用でき、エコ活動啓発と地域活性化の両方が実現できる仕組みになっています。
2023年2月、既に活動を開始していたサービスを刷新したいとCode for NAGAREYAMAに相談がきました。
「もりポ」はスタート時、店舗がクーポン利用ごとに写真を撮影して、運営側が写真の枚数を集計しポイント分の金額を渡すという作業をしていました。LINEを利用していたものの、店舗と運営側の負担がとても大きくなっていました。
「共存共助の森のまちUNION」代表水野さんの『どうにかして負担が減るようにクーポンの管理をデジタル化したい。』という声を受けて、全国にいるシビックハッカーと開発を進められたらと思い、Code for Japanのソーシャルハックデーにプロジェクトを持ち込むことにしました。
「もりポ」循環の仕組み図
「もりポ」循環の仕組み図
「もりポ」の仕組みは簡単にお伝えするとクーポン配布です。既にLINEを使ってある程度のデジタル化は進められていましたが、運用の簡素化が課題でした。
ソーシャルハックデーでは、これまでの運用で出てきた課題と、今後の展開を踏まえたシステムが検討され、リリースに向けて「もりポプロジェクト」を始動することになりました。
「もりポプロジェクト」の仕様と特徴
  • イベント毎の発行枚数管理
  • 店舗ごとの利用枚数管理
  • 利用ポイントの重複チェック機能
  • 利用者の利便性を考えLINEからリンクに飛べる機能
  • 管理画面作成の工数が少ない

NAGAREYAMA F.C.と「もりポ」実証実験1回目

実証実験の1回目は、ソーシャルハックデーにプロジェクトを持ち込んでから2ヶ月後の4月8日流山クリーン大作戦と題した地元サッカークラブチームNAGAREYAMA F.C.主催のゴミ拾いイベントとのタイアップとなりました。
NAGAREYAMA F.C.では地域貢献として毎週市民とゴミ拾い活動を開催しています。
 
当日は、流山おおたかの森駅前東西南北口に分かれた大きなゴミ拾い活動イベントとなり、200名近い方が参加し100件以上のポイントが発行されました。
ゴミ拾いをして駅前に戻ってきた方が出展店舗で「もりポ」を使って買い物を始めた裏では、開始早々アカウント認証ができていなかったり、決済画面でエラー表示がされてしまうなどトラブルが続出していました。
ユーザーがそもそもログインをしていなかったり、複数端末でログインするなどのトラブルもありましたが、これまで遠方から開発に加わっていたメンバーも実証実験の当日には現地に駆けつけ、リアルタイムで対応したことで障害対応もその場ででき、正式リリースをするにあたっての課題も洗い出すことができました。
プロジェクト始動後、毎週月曜日夜に2時間程度もくもく会を開催していたので、そこで再度タスク整理をし、v1リリースのスケジュールも組み直しました。
4月8日イベントにて「もりポ」を利用している様子
4月8日イベントにて「もりポ」を利用している様子
4月8日イベントにてNAGAREYAMA F.C.のメンバーと
4月8日イベントにてNAGAREYAMA F.C.のメンバーと

流山グリーンフェスティバルにて「もりポ」v1リリース!

4月の実証実験から1か月後、流山グリーンフェスティバル2023にて実証実験2回目を行うとともに、「もりポ」v1.0.0のリリースをすることができました!
イベント当日の5月4日は天気にも恵まれて、ゴールデンウィークということもあり多くの方が会場に集まりました。竹を使ったワークショップや収穫体験、プラスチック容器削減の取り組みとしてガラス容器の販売などが行われ、それぞれ参加者には「もりポ」が付与されました。
「もりポプロジェクト」のシビックハッカーの皆さんも利用店舗の皆さんから『手順がとても楽で利用しやすかった。』とコメントをいただくことができ、太陽のもとシステムの稼働を見守りながらイベントを楽しみました。
5月8日のイベントにて、会場で稼働確認をしている様子(左)、流山市井崎市長とシビックハッカーの皆さん(右)
5月8日のイベントにて、会場で稼働確認をしている様子(左)、流山市井崎市長とシビックハッカーの皆さん(右)

流山からカーボンニュートラルのきっかけづくり

流山市では、令和5年2月1日に「ストップ温暖化!流山プラン」を策定し、その中で「2050年度の二酸化炭素排出量実質ゼロ」を目指すことを目標として地球温暖化対策に取り組み2050年に二酸化炭素排出実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明しました。
ゼロカーボンシティを表明しました(流山市ホームページ) https://www.city.nagareyama.chiba.jp/life/1002584/1002591/1040410.html
市民の課題感と行政の目標が近づくと、まちのいろいろなところで活動が始まり、それぞれの活動が繋がりあっていきます。
人口が増加している流山市で、「もりポ」をきっかけに、市民一人ひとりの行動が変わったり、ゼロカーボンシティや地球温暖化対策に対して真剣に取り組む市民を増やすことができれば大きな力になるのではないかと考えています。

開発の成功要因は無理をしない”エコ”運営と仕様

「もりポ」を支えているメンバーは、楽しく取り組めることをポリシーに「もりポプロジェクト」に集まってきていて、無理をせず優先順位をつけて活動できているので、開発プロジェクトもいい方向で進めることができました。この無理をしない”エコ”運営が、ソーシャルハックデーに参加したシビックハッカーと地域の市民活動団体との協働がうまくいった要因だと思っています。
また、システムもできるだけ大きくならない”エコ”仕様を心掛け、データの管理はFirebaseで行うことにしました。簡易的な管理画面もあるので開発の負荷を軽減し本当に必要な機能の開発に集中しました。アプリケーションはVercelで立ち上げて、LINEの公式アカウントにリンクを貼ることにより利用者の利便性もそのままにすることができました。
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開発に参加されたメンバー

  • @osoken さん
  • @yu23ki14 さん
  • @nichesuch さん
  • @Syuparn さん
「もりポ」はソースコードを公開しOSSプロジェクトになっていますので、コントリビューターとして気軽にご参加ください。 「もりポ」のGitHub https://github.com/mori-po
※OSS(オープンソースソフトウェア):開発したソースコードを公開されていて、誰でも自由に改変、再配布が可能なソフトウェアのこと

地域の活動とシビックハッカーをつなげるブリゲード

シビックテックの活動はデジタル技術を基盤としているので、地域を超えて活動に参加できたり、活動の事例を横に展開していくスピード感があります。それをうまく使うと、地域の課題に色々な技術力を集結することができます。今回のプロジェクトでも、流山市や千葉県に限らず、市外や県外からもシビックハッカーが開発に参加してくれました。
地域課題解決の活動については、いろいろな地域で様々な団体が自主的に始めているので、Code for NAGAREYAMAではそのお手伝いや伴走ができればと思い、いろいろな団体と連携して活動しています。
今回のイベントのように、市民活動とシビックハッカーの間にコーディネートできる人が入ることで、より良い連携ができると思いますし、ブリゲードはそれができるとても重要な役割と可能性をもっていると思います。
私たちのように各地で活動されているブリゲードの皆さんも是非、ソーシャルハックデーを地域の活動の起爆材料として使ってみてください。

各団体のプロフィール

Code for NAGAREYAMA
  • 活動エリア:千葉県内(CivicTechZenChibaとして活動)
もりポ
  • 活動エリア:流山市

ソーシャルハックデーについて

下記、当サイトのシビックテックプロジェクトページまたは、Peatixのイベントページからご参加ください。
ソーシャルハックデーについて:https://www.code4japan.org/activity/civictech
Peatixイベントページ:https://code4japan.peatix.com/
 

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