学生がプロダクトのチーム開発を通じて、グローバルに挑む ——TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminar

2026.07.22 | 活動レポート

はじめに

ボーイングジャパン本社オフィスで開催された最終発表会での集合写真

ボーイングジャパン本社オフィスで開催された最終発表会での集合写真

Code for Japan(以下CfJ)では、公益財団法人⽶⽇カウンシルージャパン(英語名:The U.S.-Japan Council (Japan)、以下USJC)が主催する「TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminar」を2025年より運営しています。ハンズオンでのプロダクト開発にとどまらず、最後にはグローバル企業のエグゼクティブを前にした英語でのピッチ、そして渡米研修までが一本につながった、この2025年のプログラムについて、プロジェクトを統括する明主が紹介します。

TOMODACHIイニシアチブは、米日カウンシル在日米国大使館が主導し、日本国政府の支援も受けて実施されている官民パートナーシップです。東日本大震災後の復興支援をきっかけに生まれ、リーダーシッププログラムを通じて日米の次世代リーダーとなる「TOMODACHI世代」の育成に投資してきました。TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminarはそのプログラムの一つであり、ボーイングジャパン株式会社協賛のもと実施されています。

本プログラムの前身にあたる初期のアントレプレナーシップ・セミナーに第1期生として参加した経験を持つCfJスタッフの武貞が、学生を支援する運営として参画しています。コロナ禍では企業インターンに参加できない学生向けにオンラインでプロトタイプ開発に取り組むコンテストCivicTech Challenge Cup U-22(以下CCC U-22)の立ち上げ・運営にも携わってきました。 https://www.code4japan.org/activity/challenge-cup

CCC U-22で積み重ねた経験を活かし、TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminarの2025年の開催では「アントレプレナーシップ × STEM」という掛け合わせをテーマとしました。起業家精神や事業をつくる力はビジネス専攻の学生だけではなく、エンジニアリングや理工系の専門性を持つ学生にこそ必要であり、そうした視点を身につけることでより大きなインパクトを生み出せると考えています。

プログラム中はアイデアを実際のプロダクトとして形にし、使う人のフィードバックを受けながらブラッシュアップしていく、実践的なプロジェクト形式で学びを深めます。これは、CfJ自身が社会課題に対しテクノロジーを活用した活動を続けてきた組織として大切にしてきたアプローチがベースになっています。

プレップセミナー— ハッカソンに向けたスキルを身につける

オンラインで行われたプレップセミナーの様子

オンラインで行われたプレップセミナーの様子

ハッカソンや学外のプログラムに参加したことがない学生にとって「チーム開発」や「プロトタイプ」という言葉はあまり聞き馴染みが無いかもしれません。そうした参加のハードルを下げるために設けているのが、このプレップセミナーです。

プレップセミナーはハッカソンで役立つスキルを事前に学ぶためのオンライン講義です。選考はなく、参加要件を満たす学生であれば誰でも申し込むことができます。オンライン形式にしたことで2025年は地方の学生の参加も多くありました。

2025年の全3回のセミナーでは、各回とも一方的なインプットではなく、参加者が実際に手を動かしながら学べる形式にしました。起業家やグローバルな現場で活躍するデザイナーなど実務家を講師として招き、プロジェクトプランニングやユーザーリサーチ、そして生成AIを活用したプロトタイピングといったテーマでハッカソンに向けた実践的な学びを提供しました。

参加者からは「AIとの対話を通じて、自分一人では気づけなかった視点に触れることができた」という声もあり、ツールの使い方にとどまらない気づきの場になったことがうかがえます。また、プレップセミナーでの発表やグループワークを通じて、参加者同士が同世代の学生と刺激を受け合う機会にもなりました。

チーム開発— アイデアを形にして、伝える

ハッカソン中にメンターの関(CfJ代表)と壁打ちするチームの様子

ハッカソン中にメンターの関(CfJ代表)と壁打ちするチームの様子

プレップセミナーを経て、いよいよプログラムの核となるハッカソンです。2025年夏、全国から選抜された20名が東京の会場に集まりました。北は北海道から南は熊本まで各地から参加者が集まり、首都圏以外からの参加は全体の8割を占めました。専攻もさまざまで、工学・情報系の学生だけでなく、デザインや生物の専門など異なるバックグラウンドを持つ学生たちがチームを組みました。

ハッカソン初日は、事前に考えてきたアイデアをチームメンバーの前で発表し、共感や関心をもとにしたチーム決めから始まります。チーム結成後は「誰にとって」「どんな価値があるか」をチームのメンバー同士や様々な専門性を持つメンターと整理しながら、モックアップやプロトタイプの作成へと進んでいきます。

ハッカソンの模様について詳しくはUSJCの記事から!

TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminar ハッカソン2025 開催

ハッカソンの後は最終発表会に向けた約2ヶ月のメンタリング期間です。チームごとにオンラインでの共同作業を続けながら、プロトタイプでのデモができる状態へとブラッシュアップしていきます。

メンタリング期間には、実際にユーザーにプロダクトを使ってもらいフィードバックを受ける「ユーザーリサーチ」を経験してもらいました。アイデアを発表して終わりにせず、それぞれのチームは想定していたユーザーの反応と実際のギャップに向き合い、プロダクトを改善するという一連のサイクルを体験しました。

チームごとのメンタリングセッションに加え、任意参加のオフィスアワーでは、運営やメンターに自由に相談できる場を設けました。チームでのプロジェクトの進め方に悩んだときも、チームを超えた参加者同士で知恵を出し合える場となり、横のつながりの一体感が生まれていきました。

最終発表会— グローバルな舞台での英語プレゼン

最終発表で審査員からの質問に回答する参加者

最終発表で審査員からの質問に回答する参加者

メンタリング期間を経て、いよいよプログラムの集大成となる最終発表会です。2025年はボーイングジャパン本社オフィスを会場に、5チームが英語でのプレゼンテーションに臨みました。

ボーイング社の経営幹部や米国大使館、USJCなど、グローバルな舞台で活躍するエグゼクティブを審査員として迎えました。学生にとっては、授業や学内の発表会とはまったく異なる緊張感のある場です。それでも各チームは、実際に動くデモやコンセプトを説明する動画を作り、発表の役割をメンバーで分担し、想定される質問への回答を事前に準備したりと、それぞれの工夫でその発表の舞台に立ちました。

英語でのプレゼンに自信がなかった参加者も、この舞台を最後まで乗り越えた経験はプログラム全体を通じた大きな達成感につながったようです。

最終発表会の模様について詳しくはUSJCの記事から!

TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminar 2025 最終発表会

米国研修—「グローバル」を自分ごとにする経験

USJCメンバーや現地の日本人プロフェッショナルとのネットワーキング

USJCメンバーや現地の日本人プロフェッショナルとのネットワーキング

最終発表会を経て、プログラム全体を通じて大きな成長が評価された3名が米国研修に参加しました。2025年はワシントン州シアトルに滞在し、グローバル企業や大学・研究機関、スタートアップ、そして非営利組織など、様々な組織を訪問しました。

ボーイング社をはじめとするグローバル企業への訪問では、産学連携のプロジェクトや、日本とは異なるスケールとダイナミズムのなかでイノベーションが生まれる現場を目の当たりにしました。また、現地のスタートアップエコシステム作りに関わる方々とは、今回のプログラムで自分たちが作ったアイディアをもとに意見交換を行い、アイデアをビジネスとして育てるプロセスについて実践的なフィードバックをもらいました。

特に印象的だったのが、それぞれの現場で活躍する日系のプロフェッショナルとの交流です。グローバルな環境で活躍するロールモデルと直接対話することで「海外で働く」という抽象的なイメージが、具体的なキャリアの選択肢の一つに変わったという体験を共有する参加者の声もありました。

ある参加者は「このプログラムを通じて築いたつながりと、日本とは異なるリーダーシップのあり方への理解が、これからの自分の挑戦の幅を広げてくれると確信している」と振り返っています。

米国研修の模様について詳しくはUSJCの記事から!

TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminar 2025 米国研修

おわりに— 挑戦したい気持ちを応援します!

ハッカソンでは集中と休憩タイムを切り替えながら参加者は対話を楽しんでいました

ハッカソンでは集中と休憩タイムを切り替えながら参加者は対話を楽しんでいました

本プログラムでは、技術力を競う場ではなく、それぞれが専門性や視点を持ち寄り、チームで取り組む経験を重視しました。技術者やデザイナーなどの実務家メンターや、多様なバックグラウンドを持つ参加者同士で相談しながら「本当に解決すべき課題は何か」「ユーザーは誰なのか」といった問いに終始向き合い、考えを深める経験となりました。

このプログラムに参加した学生は、必ずしも全員が始めから特別なスキルや経験を持っていたわけではありません。「チームで何かをつくる経験がしたい」「学校の外に出てみたい」「グローバルな場に挑戦してみたい」——そんな気持ちを持っていた学生たちが、このプログラムを通じて大きく成長していきました。

プレップセミナーでスキルを学び、ハッカソンでチームを組み、メンタリング期間でアイデアを磨き、最終発表会でグローバルな審査員の前に立つ。その一連の経験が、参加者一人ひとりの中に確かな手応えとして残っています。

2026年度もTOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminarを開催します!プログラムについての詳細やエントリー方法については以下のWebページよりご覧ください。

TOMODACHI Boeing Entrepreneurship Seminar 募集ページ

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