受賞者インタビュー[CCC U-22]2021-1 :チーム虹色(ゆう猫さん)

2022.05.14 | Civictech Challenge Cup

今年度のシビックテックの学生開発コンテスト「Civictech Challenge Cup U-22」のエントリーが開始されましたが、エントリーするかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで、昨年のコンテストにご参加いただいた方にインタビューさせていただきました。今回インタビューに応じてくださったのは、性的マイノリティの課題解決に向けてチームで開発を行い、AWS賞を受賞されたチーム虹色のゆう猫さんです。
 
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1. まずは、ゆう猫さんご自身がシビックテックコミュニティに感じていたことなどがあれば教えてください。

シビックテックコミュニティというか、テックに興味がある人間として東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイト(Code for Japanがオープンソースとして、300名以上の協力者と共に開発した東京都のコロナ感染者数の推移などが閲覧できるWEBページ)を作っているなどの話を聞いて、オープンデータやオープンソース、社会課題にテクノロジーを活用するコミュニティとして興味を持っていたのですが、実際わたしたち学生が入れる隙間ははないと勝手に思っていて。すごい人たちがやっているなっていう感覚があったんですけど、自分たちでも少しずつ貢献できるんだなっていうのを考えられたり、その中に入れる存在だなっていうのをCCC U_22で感じました。
また、Code for Japanのイベントをちらっと見てみたりとか、ハックデーなどの動向を追ったり、今までよりも色々なことにアンテナを張るようになりました。

2. 去年のCCC U-22は全ての日程がオンライン開催でしたが、チームのメンバーと信頼関係を築くためにやっていたことはありますか?

過去にテクノベーション・ガールズ(Technovation Girls:10〜18歳の女性が対象のアプリ開発コンテスト)に参加したこともあったので、オンラインでのチームワークは比較的慣れていると思ってはいましたが、実際にやってみると難しいところもありました。メンバーがどういう意図でプロダクトを良くしようと思って意見しているのか、オンラインだと空気感が伝わらないこともあります。ちょっと棘があるように聞こえてしまう場面もありましたが、良いものを作ろうと意気込んでCCCに参加している人たちなので、話し合う機会を設けることでメンバーの考えを理解することができました。
また、作業や議論以外のちょっとした雑談の時間も大切にしています。というのも、プロジェクトをやっていく過程である程度お互いを知っていくことはあるけれど、それ以外の時間でもその人の人となりについて知れることはプロダクト開発のときにも重要なのかなと思ったからです。CCCに参加する人は大学生、高専生、コンテスト初参加、中長期での開発は未経験である人、など様々です。住んでいる場所も違うし、学校も違うメンバーとチームを組むこともあるので、話してみると面白いと思います。
他にも、プロトタイプをよくするための意見を出してほしいというのは常々チームに対して思っていたので、誰が出してくれるだろうという空気感を無くすために、まず自分が意見を出してはじめに基準を示すようにすることを自覚的に行っていました。一番最初に意見を出すのは難しいけれど、そうでなければ追随しやすくなりますよね。
 
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3. ゆう猫さんがCCC U-22に参加して印象的だった出来事はありますか?

社会問題を理解し、解決するアプローチを考えるうえで、その課題に対してわたし自身は参加者の中では相当知っているという驕りがあったことに気が付きました。
例えば、アイディア出しの時にみんなでmiro(Miro:ホワイトボードを使うような作業をオンラインでも行えるサービス)などを使い、チーム内で上がったテーマに対してどういうアプローチが出来るかなと案を出していくときに、チーム内でクリティカルな案が出てきたりします。新たな視点を知れたことの喜びとともに、この課題について考えている人がいて、実際解決するものとして出来上がっていく過程を見れることは当事者としても純粋に嬉しい気持ちになりました。
この話の繋がりで、特に印象的だったのはチームでデザインを担当していた方(Aさん)についてです。私自身は性的マイノリティの問題解決の一助になりたいと思い参加したのですが、Aさんはこのチームに入ったことがきっかけとなって、この問題に詳しくなったと言っていました。そういう機会でこの問題を知ってくれたこと、そういう繋がりができたことが嬉しかったです。
あとは、メンタリングを受けられたのも結構良かったです。当事者の人にインタビューさせてもらったりとか、社会人の方からフィードバックを貰えたりしました。どういう課題点・懸念点がある、こんな心配があるのではないか、などと自分たちでは見落としていた部分について教えてもらえました。様々な分野で活躍されているかたや、メンバーと話していく中でプロダクトが出来ていくのが面白いなというか、今までにない経験だったなって。一人で作るのとは違って、色々な人からの意見を反映させてプロダクトが磨かれていくのは楽しかったですね。
最終審査のあとはどうでしたか?
最終審査後はそれぞれの活動が忙しくなったので、チームで集まることはありませんでした。私たちが開発したプロダクトに対して、「こういう問題があることを知れてよかったです」とのコメントをいただいたり、解決策として提示できたりしたことで、自分だけでなく社会にもいい影響を与えられることができるんだなってことを知れました。そういう意味でCCC U-22に参加することはいいと思います。

4. 今後のキャリアや、挑戦してみたいことがあれば教えてください

もともとテクノロジーとかは興味があったのですが、勉強するタイミングや若者が開発に取り組めるコミュニティがないとずっと思っていました。進路については、以前から大学は理系に進んで、将来はエンジニアになりたいという気持ちがありました。でも、理系クラスにいても女子は薬学の道を選ぶ人が多く、エンジニアリングをやる人が少なかったのでちょっと向いていないのではと悩むこともあったんです。ですが、実際にコンテストをやり遂げたという達成感を得られたことで、やっぱりテクノロジーに関わりたい、大学でも情報技術を専攻したい、女性の割合が少ないエンジニアという選択肢を選んで、自分の好きなことをしたいと思えるようになりました。
CCC U-22に参加したことで自信が付いたということでしょうか?
そうですね。
普段の何気ない会話の中でも、女性に対して「理系は向いていない」というようなメッセージが向けられることがあります。特に「エンジニアリングには向いていない」などと言われたりすることも。社会的にどう評価されるかは置いておいて、取り敢えずやってみる。実際に自分がコードに触れなかったとしても、テクノロジーを身近に感じることができたと思います。また、以前よりも外部からの批判が気にならなくなりました。
シビックテックに参加し、対外的に評価されるようなプロダクトを作れたこともそうですし、性的マイノリティの人に向けたアプリ開発を通して、自分が社会に貢献できる活動をしたと言えることは経験としてすごく良かったと思っています。
 
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5. 最後に、今年参加しようと思っている人へ向けてアドバイスがあればお願いします。

わたしからは、プロダクト開発やシビックテックに興味があるけれど、エンジニアでもないし、コードも書けないよという人向けにお話したいと思います。
現時点でコードが書けないとか、能力がないなって思ってる人でもエントリーして、チームを組んで、その中で何かしらの形で貢献できることは沢山あると思っています。純粋に課題に対して興味があって問題の構造を理解しているとか、プレゼンが上手いとか、ユーザーリサーチが得意などはチーム内でも重宝されます。他にも、チームのマネジメントができるとか、場を和ませるとか、日程の調整ができるとか各々の得意なことを活かしていけばいいと思います。自分がまだ気づいていない得意なことやスキルが、この機会に発見できたり開花したりするかもしれません。
CCC U-22に参加している人たちは、年齢も場所も違うし、状況も全く違うし、学年もできる専門性も異なる人が集まっているところです。そういう場所では一人ひとりが出来ることを活かしていくことが重要になってきます。ですから、それぞれが持っている能力はコード書ける人とは別の評価軸で評価される能力だと思っています。なので、今エントリーするか悩んでいる人は自信をもって応募してくださいって思います。
こういった方に来てもらえると、いいプロダクトが出来そうですし、テックのコミュニティの多様性が広がったりだとか、社会にいい影響が与えられるようなプロジェクトができると思いますし、そうなることを願っています。

参加するうえで明確な目的がない人がチャレンジするうえで意識することや応援のメッセージなどはありますか?

純粋に2020年度や2021年度の過去実施された回に参加してた人に「どうでしたか?」って自分の不安要素を全部聞くというのは効果があるのではないでしょうか。事例を知りながら、不安な要素を論理的に消していくことができますよね。
あとは、自分の能力を見誤っているかもしれないけれども、ある種の楽観的な「最終的にはどうにかなるでしょ」ってマインドが重要になってきたり、何よりも最後までやり遂げようとする気持ちが一番大事になってくると思います。心配なことが出てきたときは、答えてくれる人たちがいるので運営に聞くといいと思います。もし聞きづらかったら他の参加者に聞いてもいいかもしれないですね。
それでも不安な人が居た時にエントリーするまでにこういう映画みたりとか、動画見たりとか、そういうのでもいいし、こういう記事あるよとかこういう勉強の仕方あるよとかおすすめできることがあれば教えてくれたらうれしいです。
 
▷ 2021年度最終審査会プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000039198.html

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