現代の行政が直面する課題に対して、透明性、効率性、市民参画を基盤とした「オープンガバメント」の重要性が高まっています。オープンガバメントとは、行政が持つ情報を公開し、住民や企業と協力しながら課題を解決していくアプローチを指します。この理念は、単なる情報公開に留まらず、行政運営をより開かれたものにし、市民一人ひとりが政策やサービスづくりに積極的に関与できる仕組みを築くことを目指しています。
私たちは、このオープンガバメントの考え方を実現に向けて、テクノロジーを活用し、行政と市民が協働するための「GovTechプログラム」を展開しています。DX人材育成・地域伴走支援・オープンデータ推進・オープンソース開発を軸に、オープンガバメントの実現に向けた取り組みを推進しています。
プログラム概要
1. DX人材育成
自治体職員がデジタル時代に対応し、住民目線の行政サービスを実現するための支援を行っています。単なるアドバイスではなく、伴走者として現場に寄り添いながら進めることを特徴としています。
- DXを担う人材の育成
「PLATEAUを使ったまちづくりDX研修」では、自治体職員が3D都市モデルを活用し、地域課題に取り組むスキルを学びました。こうした研修プログラムを通じて、職員自身が地域を変える力を身につける支援を行っています。
- 関係者に学びを残すプロジェクト設計
プロジェクトの成果以上に、「一緒にやれて良かった」と思える体験や知識を提供することを大切にしています。参加者が他の業務でも活用できるノウハウを共有し、プロジェクト終了後も役立つ成果を残します。
- 現場の声を起点とした課題解決
職員や市民へのヒアリングを通じて課題の本質を明らかにし、現場の実態に即したソリューションを提案します。豊岡市のスマートコミュニティ支援では、行政職員の声を活かし、ノーコードツールを用いた業務改善が進められました。
2. 地域伴走支援
地域の特性に応じた課題解決を支援し、住民と行政が協働して未来を描く取り組みを推進しています。
- 行政と現場をつなぐビジョン策定と実行支援
自治体幹部とのビジョン策定から、庁内調整や現場での施策実行までを一貫して支援します。幹部との対話を通じて方向性を明確にし、庁内の関係部署間での合意形成を進めながら、市民や地域団体との協働の枠組みづくりや現場での実装までを伴走型でサポートします。
- 住民が主役となる仕組みづくり
単なるソリューションの導入ではなく、地域住民が課題解決に積極的に関わる「出番」を創出します。地域住民との関係性を構築し、ステークホルダー間の利害関係などの調整と新たなテクノロジーを導入するための機運の醸成を図ります。
3. オープンデータ推進
設立当初から、行政運営の透明性向上と市民参加の促進を目指して、オープンデータの普及に取り組んでいます。
- ハッカソンの企画・運営
都知事杯オープンデータハッカソンの事務局など、データを活用した課題解決をテーマにしたイベントの企画・運営を行っています。これらのハッカソンでは、市民やエンジニアが一体となり、社会実装を目指したプロトタイプの開発に取り組みます。
- 調査研究の実施
デジタル庁との連携で、日本国内のオープンデータの現状調査や改善提案、マニュアルの作成などを担当しました。全国の自治体やオープンデータ活用に取り組む団体とのネットワークを活かして、データの公開と利活用が広がる仕組みづくりを支援しています。
4. オープンソース開発
行政機関と連携し、オープンソースソフトウェア(OSS)を活用した透明性の高い技術基盤を提供しています。
- 東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト
東京都の新型コロナウイルス関連の情報を集約した本サイトは、ソースコードを公開し、全国60以上の地域で再利用可能な形に展開したことで注目されました。この取り組みは、300人の市民エンジニアとの協働を通じて進められ、行政課題解決のモデルケースとなりました。
- 自治体向けサービスの提供
Decidimやデータ連携基盤などオープンソースで開発したサービスを提供しています。オープンソースの活用によって複数の自治体が予算を抑えてサービスを導入できる仕組み作りを進めています。
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