カナダからコントリビュート コロナ禍のオンライン化が縮めた距離

2024.04.10 | スタッフ

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——自己紹介とこれまでの経歴を教えてください

水野(みずの)です。Code for Japan(以下CfJ)では「まこさん」と呼ばれています。日本で4年間ウェブデザイナーとして経験を積んでからカナダのバンクーバーに移住しました。バンクーバーには日本のようなウェブ制作会社が少なく、スタートアップ企業やソフトウェア開発企業が多かったため、その頃よく耳にするようになったUIUXデザイナーに転向することにしました。今の会社ではプロダクトデザイナーとして働いています。
CfJには2020年の夏からコントリビューターとして関わるようになり、2021年の冬に業務委託のスタッフとしてジョインしました。
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——一貫してデザインに関わられているのですね。CfJではどのような取り組みをされているのですか?

「じぶんごとプラネット」という、個人のカーボンフットプリント量を可視化し行動変容につなげていくプロジェクトに携わっています。
CfJにはエンジニアが多くデザイナーが少ないので、たまに他のプロジェクトも単発でサポートに入ったり相談を受けたりしています。本業以外の隙間時間を活用しながら、週1日程度で稼働しています。

——CfJに入ったきっかけは何でしたか?

今まで参加できていなかった対面イベントがパンデミックの影響でオンラインになり、遠隔からも参加できるようになったことがきっかけです。
当時開催されていたカンファレンスやハッカソンが全て対面からオンラインになり、CfJが主催しているソーシャルハックデーにも、バンクーバーからでも参加することができました。実際にハックデーなどのイベントに参加してみて、ここなら自分のデザインスキルがいかせると思いました。
Cornerstone International Community College of Canada でのワークショップの様子(左)、カナダの建国記念日Canada DayをCanada Placeにて(右)
Cornerstone International Community College of Canada でのワークショップの様子(左)、カナダの建国記念日Canada DayをCanada Placeにて(右)

——海外からのリモート、そして副業ということですが、どのように両立されているのですか?

CfJでは、スタッフ合宿やCode for Japan Summitなど対面で交流する機会も設けています。みなさん様々な場所からリモートで働いているため、非同期型コミュニケーションツールであるSlackなどを活用してテキストでやりとりする文化が浸透しています。私は本業の残業がほぼ無く定時で上がれるので、まとまった時間を副業に当てやすかったというのはあると思います。
私の場合は時差があるので、会議に参加できない場合は会議のアーカイブ録画や議事録を確認して情報をキャッチアップしています。たくさんあるプロジェクトの内容や方向性について、情報を追うのはもちろんです。ただ、プロジェクトが多岐に渡るため、コミュニティに参加するにしてもCfJスタッフとして働くにしても、コミュニティの仲間や同僚に対して自分の興味関心やどんなことが得意なのかを、日頃からSlackなどで自発的に発信してすることも大切だと考えています。

——まこさんが精力的に取り組まれている「じぶんごとプラネット」はPM Award2023を受賞されていましたが、プロジェクトを推進する上で苦労したことは何でしたか。また、どのように乗り越えたのか教えてください。

実は私たちのチームはPMを立てず、みんながPMのような役割を担っていました。
活動する中で一番苦労したことは、最終決定者がいないことと期日が明確でないことでした。このプロジェクトはユーザー体験の設計自体を含む構想段階からスタートし、プロジェクトのゴールとしての公開日が決まっていませんでした。プロジェクト初期段階で、類似サービス調査の結果をもとにユーザーフローの検討を始めましたが、思っていた以上に時間がかかりました
これは組織の特性ゆえかもしれませんが、チーム全体で合意形成するスタイルだったこともあり、最終決定を出すまでに時間がかかり悶々とする期間がありました。一般的な企業だと意思決定は代表や役員などが決裁権を持っている人に委ねらることが多いですが、シビックテックのコミュニティプロジェクトでは各プロジェクトのメンバーに割り振られる裁量が大きく、合意をとりながら進める傾向にあります。そのため時間はかかってしまいますが、そのぶんカルチャーに掲げている「Open-source-minded(オープンソースマインド)(※)」や「Beyond all borders(あらゆる境界を越えていこう)」を実践できているという表れでもあると感じています。
※ Open-source-minded(オープンソースマインド)とは、オープンソースとオープンマインドを組み合わせた造語。
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課題となるタイムマネジメントには、ソーシャルハックデーを活用しました。毎月プロジェクトを持ち込み、進捗共有と次のアクションを考える場にできたので、ソーシャルハックデーをマイルストーンにして進めていくことができました。
ソーシャルハックデーでは、様々な方から直接意見やアイデアを聞いたり開発に協力してもらったりして、共創的なプロセスでプロジェクト活動ができたことがとてもいい経験になりました。公開前にユーザーインタビューを行ったことで、仮説のまま開発を進めるのではなく実際の意見をもとに改善案を検討できました。公開後も、Code for Japanのコミュニティを通じてユーザーの方の意見を直接聞ける機会もあり、ユーザーとの距離の近さは他のプロジェクトでは体験できなかったことだと思います。

——じぶんごとプラネットのように幅広い層がターゲットになっている場合のデザイン設計で、工夫された点はありますか。また、デザイナーとの協業の仕方や意識されていた点がありましたら教えてください。

対象を絞ったデザインではなかったため、凝ったデザインではなくフレームワークをあまり崩さないデザイン作成を意識しました。予算が少なく開発のリソースに制限があったので、あまり工数をかけないで実装を進められるようにデザインを作成しました。開発当初は、モバイルからのアクセスが多いと予想していたのでモバイルベースでデザインを作成しています。幅広いターゲットに対応できるよう文字サイズを大きめに設定し、答えにくい質問にはスキップを用意して質問に答えられなくても自身のカーボンフットプリント量の概算が分かるようにしています。
それから、このチームにはコントリビューターとして参加しているデザイナーがいます。彼女はももともと私の友人なのでコミュニケーションは取りやすく、協業はしやすかったです。デザイナー経験も長いので、お互いのやり方を共有しながら私たちにとってやりやすい方法を見つけていきました。私からは公開後のアクセス解析結果と、ユーザーインタビューから得たフィードバックを共有しました。彼女はシビックテックのプロジェクトに参加したてで新鮮な目線を持っていたので、彼女から改善点を上げてもらいました。
データから見えた改善点と、これらを擦り合わせながら進めていきました。デザイナー同士でも得意分野が異なり、見ている視点も違うのでお互いにとってよい刺激になっています。

——過去の経験がプロジェクトで生きた場面はありますか。

ソフトウェアの開発をしている企業で働いていたときに、ユーザーフロー図を取り入れることでエンジニアとのコミュニケーションがスムーズになったことがありました。その経験から、じぶんごとプラネットでもUIデザイン作成に入る前にユーザーフロー図を作成し、エンジニアと議論を進めながら仕様を定義できたのは良かったです。また、じぶんごとプラネットでは、ワークショップのファシリテートをする機会があり、普段の業務とは違った仕事に挑戦できたのでとても良い経験になりました。
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——じぶんごとプラネットは「データを可視化し行動変容を促す」というムーブメントづくりのような取り組みですが、実際につくってみて感じたことはありますか?

昨今話題になっているSDGsや環境問題の領域でもあるため、ソーシャルハックデーの参加者が興味を持ちやすかったことや、国立環境研究所の研究データを活用して認知向上や行動変容を促すという明確な目的があったことが、公開まで無事たどり着けた要因でもあると感じています。シビックテックプロジェクトは継続や展開が難しいと言われています。それでも、公開して終わりではなく、公開後のアクセス解析や改善点の検討を進めて活動を続けることで、じぶんごとプラネットを通じて環境問題について考える機会を提供します。環境問題を自分ごととして捉え、アクションしていく人の輪が少しずつ広がっていることに他のプロダクトづくりとは違った喜びを感じています。
これまでは、BtoB(企業向け)やBtoC(消費者向け)のプロジェクトにしか関わってこなかったので、行政向け・市民向けのアプローチには違いを感じました。BtoBやBtoCはターゲットが決まっていて、そのターゲットに合わせてプロダクトを作っていくけれど、シビックテックの場合はターゲットが広く「市民」に向けてつくっていることに難しさを感じるとともに、刺激を受けています。

——これからチャレンジしてみたいことについて教えてください。

CfJのメンバーとしては、「じぶんごとプラネット」のプロジェクト自体の認知度がテレビ番組やバレーボール大会とのコラボレーションなどの影響も含めて少しずつ上がっていることもあり、今後より多くの人の手に届けるためにどのように展開していくかを模索していきたいと考えています
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また、デザイナー個人としては、自分自身のキャリアを伸ばしていくことよりも、これからを担う若い世代を育てていく方向での貢献を考えていきたいですね。カンファレンスに参加していると、最近はスピーカーとして登壇する人たちの世代が全体的に下がってきているように感じます。今までのような自分たちで学んでがむしゃらにやっていくというより、自分自身が学んだことや体験したことを次世代に伝えたり、彼らと関わりながら仕事をしたりすることで、彼らのロールモデルになっていけたらいいなと思っています。

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