(第1回)設立5年を迎え新たな方向性を目指し始めたCFA

2014.11.25 | お知らせ

(第1回)設立5年を迎え新たな方向性を目指し始めたCFA

【Code for Americaについての白川レポート#1】#codeforjapan

一般社団法人 コード・フォー・ジャパン 理事 白川展之

 一般社団法人コード・フォー・ジャパンの理事をしている白川展之と申します。今回から何回かに連載で、私たちとアライアンスを組んでいる米国の非営利法人Code-for-Americaについてその変化・進化について考察していきます。CFAの経営戦略やそのチャレンジしている公共政策上の課題について、何回か連載をして参りたいと思います。この中で、コード・フォー・ジャパン(以下)の運営の一環とともに、日本の地域の社会課題にシビックテクノロジーがどのように貢献できるかについても併せて皆様に共有していければと考えています。

 さて、2014年9月23日から25日まで、米国サンフランシスコで、Code for America Summitが開催されました。CFJの理事を務める私もYahoo!基金の助成を受け、参加して参りました。私は、専ら自分の他の役職ということでガバメント枠での参加となりました。(一般1500ドルの参加費に対して、政府関係は400ドル程度と相当異なります。ただし、サミット前後に開催されるトレーニングプログラムやさまざまな会合には参加できません。しかし、日本の学会や会合の参加費の感覚からすると、高いでしょうね。)本年の私は、地域作りや地域行政のセッション、さらには、創設者のジェニファー・パルカ自らがこれからのCFAをどういう経営戦略を採用するのかといったセッションを選んで参加してきました。

 私は、去年今年とこのサミットに参加させていただいている(昨年は政府等公的機関のドメインのメルアド・身分を持っていたことから、特に招待なしに勝手に自費で参加した)訳ですが、この2年間の変化というのは、日本社会の一般の流れからすると急速な変化でした。
 もっとも、CFJは設立間もなく1年という感じでしたので、こちらの進化が別にただ負けているというわけではありません。日本のメンバーのこの1年の努力は、(アップル社が新製品の発表会で使う会場と同じ)イエナ・ブエナ公会堂で代表理事の関治之とCFJの初代フェローとして浪江町役場において復興庁の職員の身分をもって働く吉永さんが、サミットでプレゼンテーションすることにつながったのですから。(なお、発表内容・感想については、浪江プロジェクトのブログをご覧ください。ちなみに、写真のいくつかは、私が撮影したものです。)

 CFAのミッションの自体も変わってきています。地域の課題をコードによって問題解決というスタンスから、広い意味でのコミュニティをつくるというコミュニティ・オーガナイジングといったスタンスに、さらには解決する社会課題でどのようなインパクトをもたらすかという視点に重点が移ってきているように見受けられます。米国大統領府ホワイトハウスからエクゼクティブディレクターに復帰したジェニファー・パルカも、これからのCFAは、医療、安全(警察)、福祉に重点化した取り組みにより、団体としての活動をフォーカスすると今年のサミットで表明したのです。

 会場で配られた、キャチコピー「人民による、人民のための21世紀に機能する政府」に端的に示されています。これは、米国史上最も偉大な大統領とされるリンカーンが述べた「人民の人民による人民のための政府」という言葉にちなんだものですが、その言葉自体はシビックテックの特徴をよく表現しており、私自身は非常によいキャッチフレーズだと思いました。

 リンカーンの言葉は、社会科などで知っておられる方も多いと思います。元々自治体の職員をしていた私には、今回のCFAのキャッチフレーズは、非常になじみがあるものでした。日本の地方自治では、団体自治と住民自治という言葉があります。団体自治とは、自ら必要な行政サービス等を団体として処理することをいいます。一方、住民自治とは必要な行政サービスなど必要な仕事を住民自らが処理することをいいます。地方自治体と住民が両輪となって、地方自治を進めていくものとされているのです。

 日本では国・お上という言葉にみられるように政府への依存心が高く、また日本の地方行政組織(地方公共団体)も中央集権時代の組織を継承していることから、住民自治に対する意識が希薄で問題だという議論が長年なされてきました。私たち、CFJがシビックテックを通じて実現していこうとしているのは、こうした住民自治を、情報技術を中心とした科学技術とコミュニティを組織する社会における技術・ノウハウ(社会技術)によって、官が一方的に行政サービスを提供するという団体自治のモデルいままで解けなかった問題に、技術で支援された住民自治によって風穴を開けようとするものです。

 この文脈でCFAの経営戦略の変化を分析するならば、当初は、コード後からによって技術者が官僚組織の中に入っていくことで,団体自治を革新するというモデルだったものでした。現在は、これに加えて、地域のコミュニティであるブリゲード、さらには、シビックテックのスタートアップ企業を支えることといった、幅広いコミュニティ・エコシステムを育てる方向が明確になったということだと思います。そしてその成果を明確化する、つまり、インパクトを極大にするために、医療や安全といった米国社会で最も重要視されていて、なおかつ成果や情報が可視化しやすい分野に特化することを明確にしたものといえるでしょう。

 今回はそろそろ終わりにしたいと思いますが、次回以降のブログでは、行政技術とシビックテックにとって一つ大きな課題となっているオープンソースを使った公共調達、シビックテックのスタートアップ企業とCFAの関係、自治体内でのフェローの活躍で見えてきた、世界共通の官僚組織の課題にどのように米国では対処しようとしているのかとそれをみた私の感想など、個別の論点について紹介していきたいと考えています。

 皆様、CFJの活動も事務局機能が充実していないことから、十分に皆様に情報を共有できていないまま、様々な先進的な実践が先走るという状況を少しでも改善していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。最後までお読みいただきありがとうございました。

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