その後着実にネットワークは広がり、実際にいくつかの場所で実証を始めることになったわけですが、いよいよ「Make our City」プロジェクトと名前を変えてプロジェクトを拡大していくことになりました。

この記事では、多くの共感を生んだ「DIY都市」を、なぜ「Make our City」に変えたのか?という点を解説します。
DIY都市で訴えたかったことと、含有できていなかったこと

Facebookの書き込み。どこかのスマートシティで、「DIYな都市」というコンセプトで、ガバナンスモデルから住民参加を追求する所があったら、全力で手伝いたい。
全てはこの書き込みから始まったわけですが、この時点で感じていた課題は、下記のようなことでした。
スマートシティとは本来まちづくりのことであると思います。これまでまちづくりのフィールドで頑張ってきた様々なコミュニティと、横文字の「スマートシティ」の間に断絶を感じます。その両者をブリッジする言葉が必要なのではとも思うのです。
住民不在のスマートシティの計画によって便利なサービスが生まれたとしても、それが住民の幸福に結びつかなかったら意味がありません。「流れが無いところに構造を作ってもうまく機能しない」と言ったのは、会津を中心に活動をしている藤井靖史さんですが、住民との対話の無いところにスマートシティを作っても、結果使われないサービスが生まれるだけだと思うのです。
「DIY:Do It Yourself」には、消費者的な形で提供されたサービスを使う市民ではなく、自分たちが必要なサービスを、行政や企業と共に主体的に作り上げていくというイメージを込めました。そのアイデアに多くの共感が集まったわけです。
記事を見て声をかけてくださった加古川市とは、バルセロナで生まれた Decidim という市民エンゲージメントツールを使った住民合意形成を行っています。また、浜松市でのデータ連携基盤を使った実証実験や、Smart City Institute Japanさんとの Liveability & Well-being City Indicator の研究などの動きに繋がっています。

しかし、活動を進める中で、「DIY」という言葉だけでは、我々のやるべきことを包含しきれていないという思いが徐々に大きくなってきました。
具体的には、下記のような違和感です。
* Do It Yourself という文字には、コミュニティで助け合うようなインクルーシブさが足りない
* 都市だけでなく、様々なサイズの地域が対象の活動である
Yourself から「わたしたち」へ
チームメンバーで話し合った結果、住民が消費者的に良いサービスを行政に求めるのではなく、自分たちで作り上げていく、というDIY感は残しつつ、インクルーシブさや、都市に限らないサイズ感を出すために、Make our City という新しいプロジェクト名が誕生しました。
MoC(Make our City)とは、全国各地で都市に関わるひとり一人の「やりたい!」を実現するために、 市民、行政、企業をつなぐネットワーク型のまちづくりのチャレンジです。

「わたし」がエンパワーメントされるための様々なツールや仕組みをつくり、ウェルビーイングの研究や基盤の整備を行っています。
詳しくは、ぜひ、サイトをご覧ください。
それでは、これからもよろしくお願いします。