大分生まれ大分育ち。まちづくりを描く:Code for Oita 佐藤さん

2021.07.06 | 活動レポート

大分生まれ、大分育ち、今も大分で活躍するCode for Oitaの佐藤さん。学生時代からのまちへの想いと、ありたい「まちづくり」のためにどのような場を作っていくのか。お話を伺いました。

「大分の二度泣き」〜大分ってどんなところ?

今日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。

初めまして、Code for Oitaの佐藤哲也です。よろしくお願いします。私は、生まれも育ちも大分県です。大分大学に行って、地元のIT企業に就職しました。12年間勤めて、2011年の3月の末に退職してフリーランスになりました。この時期は東日本大震災の直後なんですよね。退職後は大分県立芸術文化短期大学で非常勤講師や、まちづくりイベントの企画をしたり、行政がやっているNPO支援の相談員をしていたこともあります。

現在はおおいたスタートアップセンターで創業相談の業務をしています。変わったところでは、大分の放送局でアニメを題材にしたラジオ番組をつくってます。子供の頃からラジオが好きで、いつかラジオ番組を作りたいなって思っていたのですが、その夢が叶いました。2015年にスタートして、まる6年続いています。番組は5人でチームを組んで作っています。

大分はどんなところですか?佐藤さん的大分の推しポイントを教えてください

個人的には大分の推しポイントについて、まだ気づいていない事が多いのかもしれません。大分県というと温泉のイメージを持つ人が多いと思います。「おんせん県おおいた」というと、別府や湯布院を思い浮かべる人が多いです。大分県全体でみると、海の幸も山の幸も美味しいといわれます。魚の美味しさは、スーパーで普通に買うことができるから意識していていませんでした。県外の方に「いやいや、こんなおいしい魚とかないっすよ」って言われる事はあります。「それが当たり前だ」と思っていることが実は推しポイントだと気づいてないことが他にもありそうです。

「大分の二度泣き」という逸話があります。転勤で「大分に転勤せよ」と言われた時、「大分なんて田舎に行きたくない」と泣き、転勤して3,4年たって「戻ってこい」と言われた時には「大分から離れたくない」と言って泣く。大分の外から見たほうが、大分のことを知ることができるのかもしれません。

活動に参加したくなる社会を目指して

「水どん!」というイベントを開催していると聞きました。

2012年くらいから持ち寄り飲み会を開催しています。定時退社日が設定されることの多い水曜日に、食べ物や飲み物を持ち寄って一緒に時間を過ごしましょうというイベントです。このイベントは福岡のIT系コミュニティで開催していたのが発祥で、大分でも運営スタイルを真似て開催しています。大分ではIT系にこだわらず、いろいろな人が参加してくれています。『水どん!』は毎週水曜日夜7時から10時まで3時間開催しています。興味がある人、何か話をしたい人来てみませんか?と呼びかけています。(※新型コロナウイルスの影響で不定期開催になっています。)「水どん!」の場で月に1回、Code for Oitaのミーティングもしています。

Code for Oitaのミーティングは「水どん!」の中でどのように実施されているのですか?

ミーティングしている脇で「水どん!」の参加者はおしゃべりしながら飲んでいる状況です。プロジェクターで投影しながら話をしていると、「水どん!」の参加者は何やってんだろうって脇で見ながら、たまに話に参加してくることもあり、ちょっと混ざりながらやっています。気になってる人が自然に入れる雰囲気なんです。例えば、大分県内の医療機関を地図にプロットしてみようかって話題だったときに、「えー、これくらいしか病院ないの?」とコメントが出てきたりしました。気になる話題だと入り込めるような形がいいんですよね。

「プログラミングができないとこういう活動できないんでしょ」って思う人もいますが、そういうものではないんです。いろいろな人がこのような活動に参加する社会を作りたいから、気軽に参加できるネタ・話題にして、まずは興味を持ってもらいたいと思っています。


Code for Oitaの活動について教えてください

Code for Oitaは2014年くらいに発足して、しばらく準備状態が続いていました。2016年くらいから定期的にイベントやミーティングをやるようになり、2018年3月にCode for Oitaの再起を宣言しました。特に代表は特に定めてはいませんが、公益財団法人ハイパーネットワーク社会研究所(http://www.hyper.or.jp/)が事務局の役割をしています。
よく顔を出している人がコアメンバーみたいな位置付けで、フラットな関係です。メンバーは変化をしながらも、広がりを感じています。

学生時代から持ち続けている想い

まちづくりにはいつ頃から関わるようになったのですか?

源流をたどると、パソコン通信時代までさかのぼりますね。インターネットが一般的になる前、パソコン通信の時代に地元に「コアラ」というパソコン通信ネットワークがありました。大分でパソコン通信を通じて「まちづくり」や「まちのこと」を考えたり、イベントを開催していて、テレビや新聞で見る以外でもまちのことを考えている人がいるんだと知りました。それに触発され、私もコアラやハイパーネットワーク社会研究所に顔を出し活動に参加するようになりました。

シビックテックとの出会いは?

2013年、Code for Americaのジェニファー・パルカさんのTEDスピーチをテレビで見ました。その時に「シビックテック」という言葉を知り、その概念は私自身が目指している姿に近いと思いました。イベントを企画したり、まちに出て活動するだけではなくて、自分が得意なテクノロジーの分野でまちづくりに役に立てる。シビックテックは自分が参加できる要素がたくさんあると感じました。

社会人になってからはどのような活動をしていたのですか?

まちの中心部に人が居る理由がなくなり、まちがどんどん寂しくなっていくのは地方都市の課題の一つです。私はこの先もずっと大分に住むと思うので、その課題に危機感を持っています。会社員時代は週末はまちやイベントに出ていました。本当は勤めていた会社でITで大分に役に立つころをやりたかったけど、会社が私に求めているのはそこではない。そのギャップにとても悩み、やはり、これからはまちづくりに関わって行こうと、12年間勤めた会社の退職を決めました。

独立してからはどんな活動を?

おそらく私が何かしなくても、都市計画は進められていくんですよね。でもそれって自分が欲しい未来なんだろうか?いや、多分そうではないと思うんです。住みたいまちにするには、自分たちで考えて、声を上げていかないと実現できないだということに、会社を辞めていろいろな都市計画のシンポジウムや意見交換会に顔を出すようになって気がつきました。そして、「こんなまちになったらいいなぁ」の声は、自分たちで声を上げないと作れない。自分自身も考えないといけないし、それぞれの人が、それぞれの自分の住んでいるまちの未来・将来の姿を考えて、議論して、声を上げていく。そんな活動をいろいろ人がしないと、まちはどんどん元気がなくなってしまう。これはCode for Oitaの活動にも通ずる部分です。そういうのを議論できる場としてもCode for Oitaの活動は役に立てていると思います。


これからやりたいことを教えてください。

ローカルメディアをやってみたいです。新聞などのメディアでは深く掘り下げられないような地域の課題など、市民同士で議論して、アクションできるという事を伝えるメディアをやりたい。Code for Sagaの牛島さんはローカルジャーナリズムをよく話題に出します。テレビや新聞などのメディアで取り上げられない社会地域問題はたくさんあります。市民一人一人が見て見ぬフリをすのではなく、議論すべきだと気づいた時、ジャーナリストのようにいろいろな人にそれを伝えていく活動が、これからの地域には必要だと思っています。

ローカルメディアとは?

ラジオ番組を作ってると言う話をしましたが、そういったところにも実はつながっているんです。市民同士が議論をする場を作りたい。インターネットを使えば実現が可能ですが、できればラジオという電波に乗る媒体でやりたいです。

テレビでは東京の放送局の全国ニュースの後に25分のローカルニュース枠がありますが、時間が足りません。県庁所在地の話題は多いけれど、周辺地域に住んでいる人は地元の話題が扱われることはほとんどないし、深掘りできません。地域課題についてじっくり深く掘り下げる番組もありません。圧倒的に足りないんです。地域に課題があるんです。地方都市は課題先進地と行っても良いかもしれない。課題先進地である地方都市はの課題をクリアできれば、いずれ来るであろう首都圏の課題にも対処できると言われているのに、地域ではオープンな場で、マスの媒体で議論されている様子は見ません。

地方議会では議論されているはずですが、その中身は市民の目に触れられません。議員の皆さんにまかせっきりでいいのか。いえ、そうではないですよね。市民自身が当事者のはずなんです。更によくないのは、当事者たる市民同士が現状に満足しているわけではないということ。でも、どうすればいいか、そのやり方はわからない。「アクションにつながる議論をする場」それがローカルメディア本来の役割だと思うんです。誰かがやらないといけないんです。まだやる人がいないなら、私がやりましょう。

どのようなローカルメディアと作っていきたいですか?

行政主催の意見交換会に参加すると「行政vs市民」という対立構造を感じるときがあります。行政は市民が喜ぶだろうと計画を作り、執行します。一方、市民は「コレジャナイ感」を持つことがあり、しかも行政がやってくれるのを待っている。私は市民も計画作りに参加し、様々な形で運営に関われる関係を作り、行政に対し「支援してください」と言えるようなボトムアップのアプローチが良いと思っています。そのためには、行政の説明を聞くのではなく、対立構造ではない対話の場が絶対必要だなって思うんです。

先ほど話題にした「水どん!」を例にしましょう。このイベントは気軽に参加できて、どんな話題でも大丈夫という雰囲気作りを心がけています。このような場が各地域にあるものいいなって思います。昔ながらの喫茶店は理想の場所です。いつも馴染みの人がいて、興味があったら話に参加できる。そんな風に自分たちの地域について対話が深められる場がいいですね。

最後に、これからまちづくりやシビックテックに関わろうとしている人に伝えたいことをいただけますか。

まず地域のことに興味を持ちましょう、と伝えたいです。「どんなまちになったらあなたは嬉しいですか?」「どういうまちで暮らしたいですか?」自分の暮らしている範囲の中でどう変わっていくといいのかを考えてみる。その先に必要なテクノロジーやデータなどが出てくると思います。

Code for Oita、水どん!、これから作るローカルメディアなど、いろいろな形で触れる機会を作っていきます。そこに投げかけてもらえたら、情報を返せる自信はあります。橋渡しはできると思うんです。収集魔なんです(笑)図書館で昔の新聞を調べたり、国土地理院のサイトで昔の航空写真を見たり、延々と調べているのが好きなんです。まだ何やっていいかわからないという人も、こんなことを知りたいんですって投げかけてほしいですね。ここから対話が始まると思うんです。そういうことを受け答えできるような場でありたいです。

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